新施行規則64条で休日面会は本当に実現するのか、新法運用の試金石の一つ
昨日(5月23日)で官報に公表された受刑者処遇法施行規則64条について、さっそく仲間内で議論になった。「この規定は休日面会を認めたものか?」「これで休日面会がどれくらい実施されるか?」「休日面会の振替えで平日面会できない日が出てくるか?」。
新施行規則64条は条文は以下のとおり。
「刑事施設の長は、その刑事施設において受刑者の面会を許す日(以下この条及び次条において「面会日」という。)を定めるものとする。
2 一月につき面会日として定める日数は、その月の日数からその月の第十五条第二項第一号及び第二号に掲げる日の日数を差し引いた日数を下回ってはならない。
3 各月の面会日は、その月の初日の一月前までに受刑者に告知するとともに、その月の初日の一月前から刑事施設の公衆の見やすい場所に掲示する方法その他の方法により公告するものとする。」
ここに出てくる15条2項1号は日曜日のこと、2号は土曜日と祝日と年末年始のことだから、結局64条はその月の面会できる日は「その月の日数から土日祝日年末年始の日数を差し引いた日数を下回ってはならない」という意味になる。すぐ後の65条も「受刑者の面会の時間帯について制限をするときは、その時間は、一日につき六時間(第十五条第二項第一号及び第二号に掲げる日を面会日として定めるときは、四時間)を下回ってはならない。」と規定し、休日を面会日に指定することがありうることを前提としている。また、休日面会を実施しないなら、わざわざ毎月面会日を決めて一月前に告知・公告するなどという面倒なことをする意味がない。素直に64条を読むと少なくとも月1回は休日面会を実施するつもりだと読める。
一方、従来どおり平日面会しか認めなくても平日の日数を「下回る」ことはないから64条違反にはならない。また、平日の日数を「下回る」ことがなければよいのだから、休日面会を実施した分、平日の面会業務を振替えで休止することも、64条からは可能である。むしろそれを予定しているとも読める。結局のところ、休日面会を実施しない刑務所と平日と振替えて月 1回程度の休日面会を実施するところに、対応が分かれるのではないか、というのが大体の結論であった。
しかし、考えてみれば「下回ってはならない」とは最低限を定めたものというのが日本語の常識で、諸外国でも休日面会はごく普通にやられている。詳しく調べたわけではないが、振替えで平日の面会業務を休止するなどというみみっちいことは、していないと思う(そもそも平日の面会は少ない)。おそらく、こんな分かりにくい規定になったのは、「休日面会などやってられるか!」という現場の刑務官もいるからだろう。だから、法務省矯正局も「やらなくてもよい」「平日を振替えてもよい」と説得しながらの規定となったのだろう。「行刑改革会議」の提言でも休日面会を検討するように促していたし、新法の立法過程でも法務省は「何らかの形で休日面会を実現する」ような雰囲気だったが、法律の条文に盛り込むことは頑強に拒否していた。これも現場を説得し切れないという考慮があったのかもしれない。
その意味で、64条で休日面会がどの程度実現するかは、現場レベルで受刑者処遇法の運用が真に行刑改革に向うのか否かを測る試金石の一つといえる。ただ、新施行規則64条が休日面会の実施を志向し、現場に促していることだけは確かだ。なぜなら、平日面会しかやらないのに毎月面会日を告知・公告しなければならないということは、毎月、「うちの刑務所は新法施行に不熱心で、行刑改革に後ろ向きです」と掲示しているようなものだからである。これからは、毎月の告知・公告をよくよく注意して監視しよう。毎月無意味な公告を繰り返している刑務所には、視察委員会がしっかり改善意見を述べるべきだ。
今回の施行規則にはこの他にも、面会時間を「30分を下回ってはならない」としながら、場合によってはたった5分にまで短縮できるといった、これまた常識では考えられないほど分かりにくい規定もある(66条)。これまでの「明治監獄法」のもとでは、「規則が分かりにくいのは、古い法律のもとでやりたいこともできないから」で通用したかもしれないが、最新の法律が施行されたこれからは、そういう言い訳は国際的にも通用しない。旧法下での言い回しに慣れてしまった省令立案者たちも、この点を自覚して意識改革をすべきである。休日面会を本当にやる気があるなら、64条は近い将来、「少なくとも月1回は休日の面会を実施するものとする」というようなストレートな文言に改正すべきである。
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