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2006年5月26日 (金)

訂正 電話通信、外部通勤、外出・外泊の条件は意外と広かった

 5月24日付の記事で、新しい受刑者処遇法施行規則で予想より悪かった点として、72条で「電話による通信が厳しく制限された」という趣旨を書いたが、この解釈は誤りで電話通信の許される範囲は意外と広いことが判明した。51条の外部通勤、59条の外出・外泊の要件についても同じ解釈の誤りがあり、実際の条件はもっと緩やかであったことが判明した。謹んでお詫びして訂正する。
 新施行規則の72条の文言は以下のとおりである。
「第七十二条
法第百一条第一項に規定する法務省令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 法第六十五条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていること。
二 第一種又は第二種の制限区分に指定されていること。
三 法第六十二条第一項第二号に定める指導を受けていること。」
 5月24日付の記事では、この1号から3号までを「かつ」の関係と読み、このすべてを満たしていないと電話通信が認められないと解釈した。しかし、正しくは、この各号の関係は「または」であり、1号から3号のいずれかを満たしていれば電話通信が認められうるということである。
 なぜなら、72条の基になっている法101条1項は「刑事施設の長は、受刑者に対し、第六十五条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていることその他の法務省令で定める事由に該当する場合において、その者の改善更生又は円滑な社会復帰に資すると認めるときその他相当と認めるときは、電話その他政令で定める電気通信の方法による通信を行うことを許すことができる。」と規定しており、「開放的施設において処遇を受けていること」と法務省令(新施行規則)が定める「その他」の事由は並立の関係とされているからである。新施行規則42条が「法第六十五条第二項の規定による開放的施設での処遇は、第一種の制限区分に指定されている受刑者について行うことができるものとする。」と規定していることからも、このように解釈しないと72条の1号と2号は矛盾する。
 そうなると、電話通信は制限区分第二種でも許可される場合があり、釈放2週間前なら全員に可能性があるということになり、その範囲はかなり広がることになる。歓迎すべき傾向であり、今後さらに広げていってほしい。
 同じことが、51条の外部通勤の三要件、59条の外出・外泊の三要件についても言える。すなわち、外部通勤が許されるためには、51条の1号「開放的施設において処遇を受けていること」、2号「第一種又は第二種の制限区分に指定されていること」、3号「仮釈放を許す決定がされていること」のすべてを満たす必要はなく、このうちの一つに該当すれば、外部通勤の対象者になりうるということである。外出・外泊も2号が「第一種の制限区分に指定されていること」という要件が外部通勤よりやや厳しいだけで、これに該当しなくても開放的処遇を受けているか(1号)仮釈放許可の決定がされていれば(3号)対象になりうるということである。
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2006年5月24日 (水)

新施行規則64条で休日面会は本当に実現するのか、新法運用の試金石の一つ

 昨日(5月23日)で官報に公表された受刑者処遇法施行規則64条について、さっそく仲間内で議論になった。「この規定は休日面会を認めたものか?」「これで休日面会がどれくらい実施されるか?」「休日面会の振替えで平日面会できない日が出てくるか?」。
 新施行規則64条は条文は以下のとおり。
「刑事施設の長は、その刑事施設において受刑者の面会を許す日(以下この条及び次条において「面会日」という。)を定めるものとする。
2 一月につき面会日として定める日数は、その月の日数からその月の第十五条第二項第一号及び第二号に掲げる日の日数を差し引いた日数を下回ってはならない。
3 各月の面会日は、その月の初日の一月前までに受刑者に告知するとともに、その月の初日の一月前から刑事施設の公衆の見やすい場所に掲示する方法その他の方法により公告するものとする。」
 ここに出てくる15条2項1号は日曜日のこと、2号は土曜日と祝日と年末年始のことだから、結局64条はその月の面会できる日は「その月の日数から土日祝日年末年始の日数を差し引いた日数を下回ってはならない」という意味になる。すぐ後の65条も「受刑者の面会の時間帯について制限をするときは、その時間は、一日につき六時間(第十五条第二項第一号及び第二号に掲げる日を面会日として定めるときは、四時間)を下回ってはならない。」と規定し、休日を面会日に指定することがありうることを前提としている。また、休日面会を実施しないなら、わざわざ毎月面会日を決めて一月前に告知・公告するなどという面倒なことをする意味がない。素直に64条を読むと少なくとも月1回は休日面会を実施するつもりだと読める。
 一方、従来どおり平日面会しか認めなくても平日の日数を「下回る」ことはないから64条違反にはならない。また、平日の日数を「下回る」ことがなければよいのだから、休日面会を実施した分、平日の面会業務を振替えで休止することも、64条からは可能である。むしろそれを予定しているとも読める。結局のところ、休日面会を実施しない刑務所と平日と振替えて月 1回程度の休日面会を実施するところに、対応が分かれるのではないか、というのが大体の結論であった。
 しかし、考えてみれば「下回ってはならない」とは最低限を定めたものというのが日本語の常識で、諸外国でも休日面会はごく普通にやられている。詳しく調べたわけではないが、振替えで平日の面会業務を休止するなどというみみっちいことは、していないと思う(そもそも平日の面会は少ない)。おそらく、こんな分かりにくい規定になったのは、「休日面会などやってられるか!」という現場の刑務官もいるからだろう。だから、法務省矯正局も「やらなくてもよい」「平日を振替えてもよい」と説得しながらの規定となったのだろう。「行刑改革会議」の提言でも休日面会を検討するように促していたし、新法の立法過程でも法務省は「何らかの形で休日面会を実現する」ような雰囲気だったが、法律の条文に盛り込むことは頑強に拒否していた。これも現場を説得し切れないという考慮があったのかもしれない。
 その意味で、64条で休日面会がどの程度実現するかは、現場レベルで受刑者処遇法の運用が真に行刑改革に向うのか否かを測る試金石の一つといえる。ただ、新施行規則64条が休日面会の実施を志向し、現場に促していることだけは確かだ。なぜなら、平日面会しかやらないのに毎月面会日を告知・公告しなければならないということは、毎月、「うちの刑務所は新法施行に不熱心で、行刑改革に後ろ向きです」と掲示しているようなものだからである。これからは、毎月の告知・公告をよくよく注意して監視しよう。毎月無意味な公告を繰り返している刑務所には、視察委員会がしっかり改善意見を述べるべきだ。
 今回の施行規則にはこの他にも、面会時間を「30分を下回ってはならない」としながら、場合によってはたった5分にまで短縮できるといった、これまた常識では考えられないほど分かりにくい規定もある(66条)。これまでの「明治監獄法」のもとでは、「規則が分かりにくいのは、古い法律のもとでやりたいこともできないから」で通用したかもしれないが、最新の法律が施行されたこれからは、そういう言い訳は国際的にも通用しない。旧法下での言い回しに慣れてしまった省令立案者たちも、この点を自覚して意識改革をすべきである。休日面会を本当にやる気があるなら、64条は近い将来、「少なくとも月1回は休日の面会を実施するものとする」というようなストレートな文言に改正すべきである。

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受刑者処遇法が施行、施行規則の公表で運用の全貌が明らかに

 本日から受刑者処遇法が施行される。昨日(5月23日付)の官報で受刑者処遇法施行規則(法務省令)ほかの細則がようやく公表され、新法運用の全貌が明らかになった。
 一番大きな変化は、累進処遇制度が廃止され、要警備度による第1種~第4種の「制限区分」と反則行為の有無による第1類~第5類の「優遇区分」の二本立てになったこと。
 予想されたよりも良かった点は、運動時間が「1日に30分以上、かつ、なるべく長時間」とされたこと。定期健康診断の項目が一般社会並に増えたこと。外国語による図書・面会・信書に関する翻訳料・通訳料の負担を課す場合が抑制的に規定されたこと。保管限度量・領置限度量から訴訟資料が除外されたこと。休日面会が実施可能となったことなど。
 逆に、予想されたより悪い点は、面会・文通が予想される相手について予め受刑者にかなり詳細に届け出させ、証明書類まで要求していること。同じく、面会者にかなり詳しい申出をさせ、証明書類を要求していること。面会時間が原則30分以上とされたものの混雑時には最低5分にまで短縮できるとされたこと。電話による通信をできるのが開放的処遇・制限区分2種以上、釈放直前の者と極端に制限されたことなど。

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監獄人権センターの見解

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2006年5月17日 (水)

海上自衛隊の有事演習計画と愛媛県警取調マニュアルとどちらが機密性が高いか

 今日の朝日新聞朝刊に、海上自衛隊の03年11月の軍事演習の資料など3000点がウィニーを介して流出したことが報じられていた。これはこれで大変な失態だが、海上自衛隊はこの情報流出の事実を認め、問題の軍事演習の資料などの「秘」指定も解除したとのことである。 
 これを見て思うのは、同じくウィニーを介して流出した愛媛県警「取調マニュアル」について衆議院法務委員会で野党議員に事実確認を求められた際の、安藤隆春・警察庁長官官房長の答弁である。「この流出した資料の具体的内容を明らかにするということは、やはり資料の検索を容易にして、情報の拡散を招くおそれがございます。また、ネット上に流出した情報の真偽を認めることにつながると考えておりまして、答弁は差し控えたいと思います。」
 マニュアルに絵に描いたような自白強要の手口が書いてあって不都合だからといって、たかだか県警の取調マニュアルである。海上自衛隊の作戦計画より機密性が高いとでも言うのであろうか? ことほどさように、警察というのは市民も国会もなめてかかるものである。
 代用監獄の恒久化をねらう未決拘禁法案は、今日の参議院本会議で趣旨説明がなされ、いよいよ審議入りした。参議院では愛媛県警「取調マニュアル」を本物と確認したうえで、その内容について本格的な議論をしてほしいものである。

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2006年5月16日 (火)

参議院法務委員会 入管法改正案を可決、明日から未決拘禁法案の審議入り

 本日、参議院法務委員会で、日本に入国する外国人の指紋・顔写真等の生体認証情報の提出を義務付ける「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」案が自民党、公明党などの賛成多数で可決された。民主党は政府原案に反対して修正案を提出し、共産党も政府案に反対して民主党案に賛成したが、修正案は賛成少数で否決された(社民党は参議院に法務委員がいない)。この法案は明日(5月17日)の参議院本会議で可決成立する見通しである。
 可決された入管法改正案は、「テロ対策」を名目にしているが、このように生体認証情報の提出を義務付けているのは、2001年9・11以降のアメリカ合衆国以外にない。この法案が成立すれば、日本は外国人の人権について世界で一二位を争う無神経な国ということになる。のみならず、このようにして収集した生体認証情報をアメリカと日本の政府は情報交換することが明らかになっており、結局のところ、アメリカに入国した日本人の生体認証情報も日本政府に把握されることになる。まさに恐るべき監視社会に道を開く悪法と言わなければならない。
 入管法改正案の通過に伴い、明日から参議院法務委員会では未決拘禁法案の審議が始まる。その最大の争点は世界に例のない代用監獄制度(警察留置場を拘置所の代用として使うことを認め、捜査官が取調対象者の身柄を管理する制度)を存続させるのか否かにある。
 今通常国会ではこの他にも、衆議院法務委員会で話し合っただけで犯罪になる共謀罪法案の審議が大詰めを迎えているし、「愛国心」を強制する教育基本法改正案が衆議院で本日審議入りした。後には憲法改正国民投票法案も控えている。まさに、悪法の目白押しである。とりあえず、未決拘禁法案の修正に全力をあげるとしよう。

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2006年5月13日 (土)

神戸刑務所事件 過剰収容が生んだ悲劇

 5月3日、神戸刑務所で過剰収容のため独居房に2人の受刑者が収容されていたその房で、一方の受刑者が他方の同房者から暴行を受け、急性硬膜下血腫で翌日死亡する事件が起きた。この事件はまさに過剰収容が生んだ悲劇である。神戸刑務所事件について監獄人権センターが声明を出し、問題点の指摘と解決の方向を提言している。
 刑務所の過剰収容は1999年頃から加速度的に進んでおり、深刻な問題になっている。その原因がありもしない「犯罪の増加」にではなく、重罰化政策にあることは別の機会に詳細に論じた。ここでは最近の過剰収容の深刻さの一端を紹介しよう。
 今年3月に千葉刑務所に参観に行く機会があった。定員6人の雑居房に7~8人が収容され、定員をオーバーした人の分は二段ベッドで対応していた。「二段ベッド」というと子供部屋などで使う高さのあるものを想像するが、実際に見るととんでもない。畳に人が寝ている上にコタツ机より少し高いくらいの高さの木製の長机のような物を置いて、その上に人が寝るような形である。これではさぞかしストレスがたまるだろうと心配した。これは何も千葉刑務所に限った話ではなく、現在どこの刑務所でも似たような状況が見られる。今回の事件はまさにその心配が現実になったような気がする。
 監獄人権センターの声明にもあるように、刑務所の増設は抜本的な解決の方向ではないし、何より、過剰収容の進展に間に合わない。正面からの刑務所人口減少策に早急に政策的に舵を切る必要がある。

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2006年5月 8日 (月)

受刑者処遇法の施行日が5月24日に確定

 昨年5月25日公布された受刑者処遇法の施行日が5月24日に確定した。この法律は、附則1条で「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と定められていたが、その政令「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行期日を定める政令」(政令第191号)が本日付の官報で公布されたからである。結局、本法は法律で許されたギリギリ最後の日に施行されることになった。
 本日付の官報では、このほか、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律施行令」(政令192号)と「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」(政令第193号)の2本の政令が公布された。
 後者は既存の政令中の「監獄法」を新法名に、「仮出獄」を「仮釈放」に、「監獄」を「刑事施設」に、「代用監獄」を「警察留置場」に、「収監状」を「収容状」に・・・それぞれ改めるもので、形式的な政令である(ちなみに、現在参議院で審議中の未決拘禁法案では「警察留置場」をさらに「留置施設」と改めようとしている)。
 前者の「施行令」は主に2つの内容を規定している。1つは、受刑者に告知しないで差入人に引き取りを求めるべき差入金品について、差入人の所在不明のため最終的に国庫に帰属させる前提としての公告の方法(法23条2項等)を定めるものである。「刑事施設の公衆に見やすい場所に十四日間掲示してする」とされた。
 2つ目は、受刑者処遇法で新設された不服申立手続(「審査の申請」「再審査の申請」「事実の告知」)に行政不服審査法を準用する場合(法114条等)の、技術的読替えに関する規定である。注目すべきは、代理人に関する規定である。受刑者処遇法では114条等で審査の申請等に行政不服審査法の規定を多数準用しているが、「代理人による不服申立て」に関する行政不服審査法12条を準用していない。この点について監獄人権センターは立法過程で再三再考を求めてきたが受け入れられなかった。今回の政令でも代理人等による申請手続に関する行政不服審査法15条の規定から代理人に関する部分をはずして読み替えることとされていて、代理人による申請を認めないことが明確にされている。
 行政不服審査法の読替えについてのその他の規定は形式的なもので、特に問題はない。被収容者が不服申立てする場合は住所の代わりに「当該刑事施設の名称」を記載するものとされ、押印の代わりに「指印」でよいとされた。
 もともと、「施行令」は形式的なものであるから、やはり注目すべきは現行の「監獄法施行規則」に代わる法務省令の方である。しかし、こちらは新法施行日まで2週間余りとなった現在でも、未だ発表されていない。

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