新施行規則の解説その1 累進処遇の廃止と個別的処遇
受刑者処遇法(刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律)が5月24日から施行された。その前日の官報で受刑者処遇法施行規則(法務省令)などの関係細則が公表され、受刑者処遇法の運用の全貌が少しずつ明らかになってきた。
実際には、新法の施行と同時に100を超える訓令・通達が発出されているが、訓令・通達はホームページなどで簡単に入手できる形では公表されていない。これは従来からもそうで、非公開ではないが数が多いなどの理由によると思われる。『矯正実務六法』(東京法令出版)などの刊行を待つのが無難である。
そこでとりあえず、新施行規則の概要をまとめてみた。第1回は累進処遇の廃止と個別的処遇の導入である。旧監獄法下では受刑者の大多数を占める懲役受刑者には、行刑累進処遇令が適用され、この累進処遇制度が刑務所生活の基本を規律してきた。受刑者処遇法では、84条2項で「矯正処遇は、処遇要領(矯正処遇の目標並びにその基本的な内容及び方法を受刑者ごとに定める矯正処遇の実施の要領をいう。・・・)に基づいて行うものとする。」とされている。これが、いわゆる個別的処遇を規定した条項であり、これは従来の累進処遇制度とは相容れない。そこで、新施行規則で累進処遇に代わってどのような制度が打ち出されるのか注目されていた。
新施行規則で採用された制度は、4種の制限区分と5類の優遇区分を組み合わせた制度である。制限区分は要警備度を基準にした長期的な分類であり、優遇区分は半年ごとに評価される受刑態度による分類である。これは一見すると欧米にも見られる要警備度に基づく行動制限と個別的処遇を組み合わせた制度への転換ようにも見えるが、累進処遇と実質上変わらない運用も可能である。また、特に優遇区分(優遇措置)については、運用次第では担当看守の恣意による受刑者支配を招く危険もある。今後の運用を注視する必要がある。
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