受刑者処遇法の運用その3 新法運用の最大の争点になるか? 制限区分4種による隔離処分の脱法
受刑者処遇法以前には、全受刑者の約4%が継続的な昼夜独居(旧監獄法施行規則47条の「戒護のための独居」、「保安上独居」「処遇上独居」ともいう)の状態に置かれていた。このうち20人以上が10年を超えており、最長では40年近く昼夜独居拘禁が続いている人もいた。
昼夜独居拘禁にしなければならない受刑者というと、いかにも「暴れ者」のようなイメージを持つが、実際には、刑務所を相手に訴訟を起こすと必ずと言っていいほど昼夜独居にされるなど、旧法下ではかなりルーズに昼夜独居が多用されていた。
受刑者処遇法では、旧監獄法施行規則47条の「戒護のための独居」に相当する「隔離」の処分をその要件を法律で明文化した。また、更新の上限こそ規定しなかったものの、原則的な隔離期間を従来の6か月から3か月に短縮し、更新の期間も従来の3か月ごとを1か月ごとに短縮した。
これによって、従来のように刑務所相手の訴訟を起こしただけで昼夜独居にされるような事例はなくなり、昼夜独居自体が減少することが期待された。
ところが、新法施行以降、確かに隔離処分になった受刑者の話はあまり聞こえてこないものの、相変わらず昼夜独居のままだったり、新たに昼夜独居にされた受刑者が多い。中には、この昼夜独居について正規の不服申立手続である「審査の申請」をしたら、「隔離ではないので審査の対象外」と明確に却下された人もいる。
おそらく、受刑者処遇法で累進処遇制度に代わる個別的処遇制度の一環として導入された「4種の制限区分・5類の優遇区分」のうち制限区分4種が新たな昼夜独居拘禁として活用されているのであろう。確かに、今年5月24日の受刑者処遇法施行の前日に公布された受刑者処遇法施行規則(法務省令)には、制限区分4種は「居室棟内で」処遇するとなっており、同日発出された矯正局長通達では(被隔離者以外の)「昼夜居室処遇者」などという新たな範疇まで作り出している。
しかし、旧法下において継続的な昼夜独居拘禁の根拠は旧監獄法施行規則47条以外にはない(
衆議院植田至紀議員の「昼夜間独居に関する質問」に対する答弁書2000年12月26日、別表一を参照のこと)。また、原則6か月、3か月ごとに更新という期間制限も旧法下では旧規則47条の昼夜独居だけではあらゆる独居拘禁に適用される規定であった。したがって、受刑者処遇法も53条の「隔離」以外には継続的な昼夜独居はありえないとの前提で立法されている。期間制限も53条の「隔離」や109条の反則取調べのための「隔離」など「隔離」の種類に応じて規定している。矯正局長通達にある制限区分4種の「指定基準」は「生活態度の不良」など、当然ながら53条の隔離のニ要件とは比較にならないほどルーズである。受刑者処遇法が、このようにルーズな要件で、期間制限もない、不服申立手段もない昼夜独居制度を新たに創設したとは到底考えられない。
矯正局長通達では被隔離者以外の「昼夜居室処遇者」には運動の集団実施などで他の受刑者と接触する機会を作るべきことが規定されている。これは従来の厳正独居に対する緩和独居に相当するものだが、緩和独居と厳正独居の違いは採るに足りない。集団処遇が厳正独居が雲泥の違いだとすれば、厳正独居と緩和独居の違いなど泥の濃淡の違いでしかない。制限区分4種の昼夜独居化は、隔離の要件、効果(理由告知、期間制限、審査の申請の可否など)の脱法行為であり、到底許されるものではない。
今後、旧法下で4%だった昼夜独居者が隔離と制限区分4種にどう分化していったか、統計的にも明らかにされるであろう。実態が明らかになるにつれて、新法運用の最大の争点になるかもしれない。
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