2007年3月 8日 (木)

受刑者処遇法の運用その5 懲罰に対する不服申立てを100%門前払いするおかしな不服申立制度

 受刑者処遇法が施行されて9ヶ月が過ぎようとしている。この間に受刑者処遇法の運用の光と影が徐々に明らかになっている。

 光の最たるものは外部交通である。友人との面会・文通は運用としても大きく開かれた。民間の人権団体(監獄人権センターと思われる)への信書の発信を不許可とした刑務所長の処分を追認しようとした法務大臣の処理案を、不相当として覆した不服審査調査検討会の決定によって、この流れは確定的なものになっている。
 影の最たるものは法53条の「隔離」(昼夜独居)の厳格な要件を脱法して、省令レベルで新たな昼夜独居を創出した「制限区分第4種」の制度である。これは「立法詐欺」とも言うべきものである。しかし、最近、これに匹敵する第2の「立法詐欺」候補が明らかになった。
 受刑者処遇法は、懲罰や隔離など施設長の重要な処分に対する「審査の申請」、暴行・戒具使用・保護室収容(職員の事実行為)に対する「事実の申告」、対象事項に制限のない施設長・監査官・法務大臣への「苦情の申出」という3つの不服申立制度を創設した。「苦情の申出」は単なる苦情処理の制度であるから、前二者が正規の行政上の不服申立制度といえる。
 「審査の申請」の対象は法112条1項1号~15号に列挙された施設長の処分に限定されるが、このうち「最も典型的な不服申立ての対象は?」と問われれば、多くの人が「懲罰」と答えるであろう。懲罰は施設長の権力的行為(行政処分)の代表であることは、誰しも否定できないからである。逆に言えば、懲罰に対して実効的に不服申立てができなければ不服申立制度の名に値せず、そのようなエセな不服申立制度しか持たない拘禁制度は現代的な国際人権水準に照らして失格だということである。
 ところが、まさにその懲罰に対する審査の申請を事実上100%門前払いする運用が現に行われている。以下がその裁決書の見本である。法務大臣名のこの裁決書は「執行を終了した懲罰に対する審査の申請は、処分を取り消す法律上の利益を欠くから不適法」として却下するとしている。
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法務省矯総第○○○○号

裁決書

事案番号 平成18年(再審)第○○号
再審査申請人 ○○○○
○○市○○○○(○○刑務所内)
処分庁 ○○刑務所長
審査庁 ○○矯正管区長

 上記再審査申請人から平成18年7月18日付けでなされた○○矯正管区長が申請人の審査の申請を却下した裁決に係る再審査の申請については,次のとおり裁決する。

主文

 本件再審査の申請を却下する。

理由

1申請の趣旨

 ○○刑務所長が平成18年6月2日に再審査申請人に対して科した懲罰の取消しを求めるため,同月7日付けをもって,○○矯正管区長に対して審査の申請をした。しかし,同管区長は,同月21日付けをもって当該審査の申請を却下した。そこで,同所長が科した懲罰の取消しを求める。

2 判断

 本件再審査の申請は,平成18年6月2日に執行が終了している懲罰の取消しを求めたものであり,不服を申し立てる法律上の利益を有しない不適法なものである(○○矯正管区長の判断も同趣旨である。)から,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律第117条第3項の規定により準用される行政不服審査法第40条第1項の規定により,主文のとおり裁決する。
 なお,職権をもって調査したところ,本件懲罰を科した○○刑務所長の処置に不当な点は認められない。

平成18年9月4日

法務大臣 杉浦正健
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 確かに、行政事件訴訟法や行政不服審査法の解釈や行政救済法の一般理論では、行政訴訟でいえば訴訟要件に当たる実質審査の前提要件として、「訴えの利益」に当たる「争訟の利益」「(処分)取消しの利益」を要求している。また、執行を終了した懲罰にもこの「取消しの利益」が認められるかについては、これを否定するのが地裁レベルの裁判例の多数派である。法務省はこの一般理論を新法の審査の申請に適用したにすぎないように見える。
 しかし、これでは懲罰に対する審査の申請を「適法」に行うことは事実上不可能になる。なぜなら、まず戒告罰などは告知と同時に執行されるから審査の申請は不可能である。これは軽いからよいとしても、閉居罰も告知後ただちに執行するのが原則だから、閉居罰の執行中に審査の申請をするしかない。矯正局長通達で、審査の申請の申し出があった場合には懲罰の執行を最長7日間延期できることになっているが、延期される保証はない。延期されない場合、1日4時間以内で最長7日間の認書が認められるが、このようなことが可能であることは受刑者に周知されていない。また、周知されたとしても、このような悪条件下で申請書を書き上げたり、閉居罰執行中に審査の申請を申し出ることは、受刑者にとって心理的にも非常に困難である。
 この困難をクリアして審査の申請をしたとしても、裁決が出るまでには閉居罰でもほとんどが執行を終了してしまう。矯正管区長の裁量による執行停止の制度もあるが、それは受刑者に周知されておらず、執行停止される保証もない。2ヶ月の閉居罰という例外的な上限のケースでも、矯正管区長は90日以内に裁決すればよいのだから、懲罰の執行が終わるまで待つこともできる。要するに、矯正管区長はその気になれば、どのような懲罰に対する不服申立てでも100%却下できるのである。これで果たして実効性のある不服申立制度、行政救済制度と言えるであろうか。
 さらに、法務大臣が再審査の申請を棄却する場合には第三者機関である不服審査調査検討会のチェックを受けるが、再審査の申請を却下する場合にはこのチェックを受けないことになっているので、懲罰に関する限り第三者機関が実質審査する機会も全くないということになる。
 法務省の法112条1項の解釈・運用は以下の理由で誤っている。
① まず、懲罰を不服申立ての対象としておきながら、ほぼ100%門前払いしてしまうような法解釈が正しいはずがない。法112条1項が懲罰を審査の申請の対象とした趣旨を活かす解釈・運用をすべきである。
② 行政争訟に関する一般法として対象事項を限定しない行政事件訴訟法や行政不服審査法の解釈としては、争訟の形式的要件として「争訟の利益」「取消しの利益」を要求しないと収拾がつかなくなるとしても、もともと対象事項を吟味・限定している受刑者処遇法上の不服申立制度にこの一般理論をそのまま適用する必要はない。
③ 現に、受刑者処遇法が創設したもう一つの不服申立制度である「事実の申告」は、「取消しの利益」がそもそも考えられない「継続性のない事実行為」について、刑事施設の特殊性から特に不服申立てを認めるために、まさに創設された制度である。「事実の申告」との対比からも、法112条1項が「審査の申請」の対象に「執行を終了した懲罰」を創設的に含めたと解釈して何ら不都合はない。
④ 「執行を終了した懲罰には取消しの利益がない」という理論は判例上も確立した理論ではない。最高裁はもちろん高裁レベルの判断はまだない。地裁レベルでも、身分帳の記載や仮釈放への影響では「取消しの法的利益」としては足りないとしながらも、旧法時代の累進処遇への影響については判断を留保したものもある。受刑者処遇法施行規則(法務省令)45条5号6号は、受刑者の発信回数に直結する優遇区分の懲罰歴による必要的指定・必要的変更を明記しており、これ一つを取っても従来の下級審裁判例の理論の見直しを迫るものである。
⑤ 法112条1項各号が列挙する審査の申請の対象事項のうち、時間の経過と共に「争訟の利益」が失われる可能性があるのは、実は、6号の保安上の隔離、13号の懲罰、15号の取調べのための隔離の3つしかない。このうち、6号の保安上の隔離は長期化が予想されるので、「取消しの利益」を要求しても却下されるケースは少ない。15号の取調べのための隔離は「取消しの利益」を要求すると懲罰と同様にほとんどの不服申立てが却下される結果になる。これについては懲罰と同様に執行終了後の申請を認めるか、「隔離については後の処遇への影響が少なく、まさに解除させること取消しの唯一の実益だから、救済されるケースが少なくてもよい」と割り切るか、どちらの解釈も成り立つであろう。
 要するに、行政救済法の一般理論から離れた特別の解釈を必要とするのは、法112条1項各号のうちでも懲罰だけと言っても過言ではないのであり、このような解釈を採用しても一般理論に対する影響は少ない。
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「審査の申請」の対象事項(法112条1項1号~15号)

①領置金の使用不許可、保管私物と領置金品の宅下げ不許可
②指名医による診療の不許可、指名医による診療の中止
③一人で行う宗教行為の制限
④書籍・新聞の閲読の制限
⑤検閲のための翻訳費用を負担させる処分
⑥保安上の隔離
⑦釈放時の作業報奨金の支給に関する処分
⑧作業上の負傷・疾病が症状固定した場合の障害手当金の支給に関する処分
⑨作業上の負傷・疾病が釈放時に症状固定していない場合の特別手当金の支給に関する処分
⑩信書の発受の相手・内容・方法による制限、自作の文書図画の宅下げに関する制限
⑪差止めした信書、削除した信書の一部、信書の抹消部分の複製を釈放時に引き渡さない処分
⑫面会・電話通信・信書の検閲のための通訳・翻訳費用を負担させる処分
⑬懲罰
⑭反則行為に関わる物を国庫に帰属させる処分
⑮反則取調べのための隔離
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⑥ この問題をどう考えるにしろ、執行中の懲罰案件であると分った時点で矯正管区長が機械的に懲罰の執行停止をすることが門前払いを減らす必須条件である。しかし、仮にそのような運用をしても、その時点では懲罰事案のうち相当数が執行を終了しているであろうし、実質審査と門前払いの境目が偶然に左右されすぎて、これでは制度に対する信頼を確保するには決定的に不十分である。懲罰執行中に申請をする困難さの問題も残る。
⑦ そもそも、法律には素人であり、閉居罰執行中で誰とも相談できない受刑者に対して、行政法の専門家がするような「取消しの利益」の議論や執行停止に関する細かな争訟技術を要求すること自体が、非現実的かつ不当である。新法が懲罰を不服申立ての対象として宣言しながら、実際にはそのほとんどを門前払いする運用を続けるなら、それは「立法詐欺」と言われても仕方がない。
 「立法詐欺」のような運用によって受刑者が抱く失望感、無力感、社会や人間一般への不信感は、「改善更生の意欲の喚起」(法14条「受刑者の処遇の原則」)とは全く逆の、自暴自棄や精神的荒廃へと受刑者を追いやるであろう。その意味でも、百害あって一利もないこのような誤った法解釈・運用は直ちに改められなければならない。

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2006年6月 9日 (金)

新施行規則の解説その1 累進処遇の廃止と個別的処遇

 受刑者処遇法(刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律)が5月24日から施行された。その前日の官報で受刑者処遇法施行規則(法務省令)などの関係細則が公表され、受刑者処遇法の運用の全貌が少しずつ明らかになってきた。
 実際には、新法の施行と同時に100を超える訓令・通達が発出されているが、訓令・通達はホームページなどで簡単に入手できる形では公表されていない。これは従来からもそうで、非公開ではないが数が多いなどの理由によると思われる。『矯正実務六法』(東京法令出版)などの刊行を待つのが無難である。

 そこでとりあえず、新施行規則の概要をまとめてみた。第1回は累進処遇の廃止と個別的処遇の導入である。旧監獄法下では受刑者の大多数を占める懲役受刑者には、行刑累進処遇令が適用され、この累進処遇制度が刑務所生活の基本を規律してきた。受刑者処遇法では、84条2項で「矯正処遇は、処遇要領(矯正処遇の目標並びにその基本的な内容及び方法を受刑者ごとに定める矯正処遇の実施の要領をいう。・・・)に基づいて行うものとする。」とされている。これが、いわゆる個別的処遇を規定した条項であり、これは従来の累進処遇制度とは相容れない。そこで、新施行規則で累進処遇に代わってどのような制度が打ち出されるのか注目されていた。

 新施行規則で採用された制度は、4種の制限区分と5類の優遇区分を組み合わせた制度である。制限区分は要警備度を基準にした長期的な分類であり、優遇区分は半年ごとに評価される受刑態度による分類である。これは一見すると欧米にも見られる要警備度に基づく行動制限と個別的処遇を組み合わせた制度への転換ようにも見えるが、累進処遇と実質上変わらない運用も可能である。また、特に優遇区分(優遇措置)については、運用次第では担当看守の恣意による受刑者支配を招く危険もある。今後の運用を注視する必要がある。

詳しい解説はこちら

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2006年6月 1日 (木)

未決拘禁法案 参議院法務委員会で可決、明日の本会議で成立の見通し

 本日午前の参議院法務委員会で未決拘禁法案(「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」案)が与党の賛成多数で可決された。この法案は明日の参議院本会議で可決成立する見通し。この法案では100年前から廃止が課題になっていた代用監獄制度が存続させられており、この点の修正なしに政府案がそのまま可決されたことは、極めて遺憾である。
 本日の参議院法務委員会では、各党1名ずつが最後の質問を行った後、民主党の修正案が提案された。採決では、まず民主党の修正案が採決され民主党・共産党(おそらく国民新党も)が賛成したが(社民党は法務委員がいない)、賛成少数で否決された。その後、内閣提出の原案が自民党・公明党の賛成多数で可決された。原案可決の後、法務委員会の全会派共同提案による附帯決議が全会一致で可決された。

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2006年5月26日 (金)

訂正 電話通信、外部通勤、外出・外泊の条件は意外と広かった

 5月24日付の記事で、新しい受刑者処遇法施行規則で予想より悪かった点として、72条で「電話による通信が厳しく制限された」という趣旨を書いたが、この解釈は誤りで電話通信の許される範囲は意外と広いことが判明した。51条の外部通勤、59条の外出・外泊の要件についても同じ解釈の誤りがあり、実際の条件はもっと緩やかであったことが判明した。謹んでお詫びして訂正する。
 新施行規則の72条の文言は以下のとおりである。
「第七十二条
法第百一条第一項に規定する法務省令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 法第六十五条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていること。
二 第一種又は第二種の制限区分に指定されていること。
三 法第六十二条第一項第二号に定める指導を受けていること。」
 5月24日付の記事では、この1号から3号までを「かつ」の関係と読み、このすべてを満たしていないと電話通信が認められないと解釈した。しかし、正しくは、この各号の関係は「または」であり、1号から3号のいずれかを満たしていれば電話通信が認められうるということである。
 なぜなら、72条の基になっている法101条1項は「刑事施設の長は、受刑者に対し、第六十五条第二項の規定により開放的施設において処遇を受けていることその他の法務省令で定める事由に該当する場合において、その者の改善更生又は円滑な社会復帰に資すると認めるときその他相当と認めるときは、電話その他政令で定める電気通信の方法による通信を行うことを許すことができる。」と規定しており、「開放的施設において処遇を受けていること」と法務省令(新施行規則)が定める「その他」の事由は並立の関係とされているからである。新施行規則42条が「法第六十五条第二項の規定による開放的施設での処遇は、第一種の制限区分に指定されている受刑者について行うことができるものとする。」と規定していることからも、このように解釈しないと72条の1号と2号は矛盾する。
 そうなると、電話通信は制限区分第二種でも許可される場合があり、釈放2週間前なら全員に可能性があるということになり、その範囲はかなり広がることになる。歓迎すべき傾向であり、今後さらに広げていってほしい。
 同じことが、51条の外部通勤の三要件、59条の外出・外泊の三要件についても言える。すなわち、外部通勤が許されるためには、51条の1号「開放的施設において処遇を受けていること」、2号「第一種又は第二種の制限区分に指定されていること」、3号「仮釈放を許す決定がされていること」のすべてを満たす必要はなく、このうちの一つに該当すれば、外部通勤の対象者になりうるということである。外出・外泊も2号が「第一種の制限区分に指定されていること」という要件が外部通勤よりやや厳しいだけで、これに該当しなくても開放的処遇を受けているか(1号)仮釈放許可の決定がされていれば(3号)対象になりうるということである。
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2006年5月24日 (水)

新施行規則64条で休日面会は本当に実現するのか、新法運用の試金石の一つ

 昨日(5月23日)で官報に公表された受刑者処遇法施行規則64条について、さっそく仲間内で議論になった。「この規定は休日面会を認めたものか?」「これで休日面会がどれくらい実施されるか?」「休日面会の振替えで平日面会できない日が出てくるか?」。
 新施行規則64条は条文は以下のとおり。
「刑事施設の長は、その刑事施設において受刑者の面会を許す日(以下この条及び次条において「面会日」という。)を定めるものとする。
2 一月につき面会日として定める日数は、その月の日数からその月の第十五条第二項第一号及び第二号に掲げる日の日数を差し引いた日数を下回ってはならない。
3 各月の面会日は、その月の初日の一月前までに受刑者に告知するとともに、その月の初日の一月前から刑事施設の公衆の見やすい場所に掲示する方法その他の方法により公告するものとする。」
 ここに出てくる15条2項1号は日曜日のこと、2号は土曜日と祝日と年末年始のことだから、結局64条はその月の面会できる日は「その月の日数から土日祝日年末年始の日数を差し引いた日数を下回ってはならない」という意味になる。すぐ後の65条も「受刑者の面会の時間帯について制限をするときは、その時間は、一日につき六時間(第十五条第二項第一号及び第二号に掲げる日を面会日として定めるときは、四時間)を下回ってはならない。」と規定し、休日を面会日に指定することがありうることを前提としている。また、休日面会を実施しないなら、わざわざ毎月面会日を決めて一月前に告知・公告するなどという面倒なことをする意味がない。素直に64条を読むと少なくとも月1回は休日面会を実施するつもりだと読める。
 一方、従来どおり平日面会しか認めなくても平日の日数を「下回る」ことはないから64条違反にはならない。また、平日の日数を「下回る」ことがなければよいのだから、休日面会を実施した分、平日の面会業務を振替えで休止することも、64条からは可能である。むしろそれを予定しているとも読める。結局のところ、休日面会を実施しない刑務所と平日と振替えて月 1回程度の休日面会を実施するところに、対応が分かれるのではないか、というのが大体の結論であった。
 しかし、考えてみれば「下回ってはならない」とは最低限を定めたものというのが日本語の常識で、諸外国でも休日面会はごく普通にやられている。詳しく調べたわけではないが、振替えで平日の面会業務を休止するなどというみみっちいことは、していないと思う(そもそも平日の面会は少ない)。おそらく、こんな分かりにくい規定になったのは、「休日面会などやってられるか!」という現場の刑務官もいるからだろう。だから、法務省矯正局も「やらなくてもよい」「平日を振替えてもよい」と説得しながらの規定となったのだろう。「行刑改革会議」の提言でも休日面会を検討するように促していたし、新法の立法過程でも法務省は「何らかの形で休日面会を実現する」ような雰囲気だったが、法律の条文に盛り込むことは頑強に拒否していた。これも現場を説得し切れないという考慮があったのかもしれない。
 その意味で、64条で休日面会がどの程度実現するかは、現場レベルで受刑者処遇法の運用が真に行刑改革に向うのか否かを測る試金石の一つといえる。ただ、新施行規則64条が休日面会の実施を志向し、現場に促していることだけは確かだ。なぜなら、平日面会しかやらないのに毎月面会日を告知・公告しなければならないということは、毎月、「うちの刑務所は新法施行に不熱心で、行刑改革に後ろ向きです」と掲示しているようなものだからである。これからは、毎月の告知・公告をよくよく注意して監視しよう。毎月無意味な公告を繰り返している刑務所には、視察委員会がしっかり改善意見を述べるべきだ。
 今回の施行規則にはこの他にも、面会時間を「30分を下回ってはならない」としながら、場合によってはたった5分にまで短縮できるといった、これまた常識では考えられないほど分かりにくい規定もある(66条)。これまでの「明治監獄法」のもとでは、「規則が分かりにくいのは、古い法律のもとでやりたいこともできないから」で通用したかもしれないが、最新の法律が施行されたこれからは、そういう言い訳は国際的にも通用しない。旧法下での言い回しに慣れてしまった省令立案者たちも、この点を自覚して意識改革をすべきである。休日面会を本当にやる気があるなら、64条は近い将来、「少なくとも月1回は休日の面会を実施するものとする」というようなストレートな文言に改正すべきである。

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受刑者処遇法が施行、施行規則の公表で運用の全貌が明らかに

 本日から受刑者処遇法が施行される。昨日(5月23日付)の官報で受刑者処遇法施行規則(法務省令)ほかの細則がようやく公表され、新法運用の全貌が明らかになった。
 一番大きな変化は、累進処遇制度が廃止され、要警備度による第1種~第4種の「制限区分」と反則行為の有無による第1類~第5類の「優遇区分」の二本立てになったこと。
 予想されたよりも良かった点は、運動時間が「1日に30分以上、かつ、なるべく長時間」とされたこと。定期健康診断の項目が一般社会並に増えたこと。外国語による図書・面会・信書に関する翻訳料・通訳料の負担を課す場合が抑制的に規定されたこと。保管限度量・領置限度量から訴訟資料が除外されたこと。休日面会が実施可能となったことなど。
 逆に、予想されたより悪い点は、面会・文通が予想される相手について予め受刑者にかなり詳細に届け出させ、証明書類まで要求していること。同じく、面会者にかなり詳しい申出をさせ、証明書類を要求していること。面会時間が原則30分以上とされたものの混雑時には最低5分にまで短縮できるとされたこと。電話による通信をできるのが開放的処遇・制限区分2種以上、釈放直前の者と極端に制限されたことなど。

施行規則の詳細な内容はこちら
監獄人権センターの見解

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2006年5月 8日 (月)

受刑者処遇法の施行日が5月24日に確定

 昨年5月25日公布された受刑者処遇法の施行日が5月24日に確定した。この法律は、附則1条で「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と定められていたが、その政令「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行期日を定める政令」(政令第191号)が本日付の官報で公布されたからである。結局、本法は法律で許されたギリギリ最後の日に施行されることになった。
 本日付の官報では、このほか、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律施行令」(政令192号)と「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」(政令第193号)の2本の政令が公布された。
 後者は既存の政令中の「監獄法」を新法名に、「仮出獄」を「仮釈放」に、「監獄」を「刑事施設」に、「代用監獄」を「警察留置場」に、「収監状」を「収容状」に・・・それぞれ改めるもので、形式的な政令である(ちなみに、現在参議院で審議中の未決拘禁法案では「警察留置場」をさらに「留置施設」と改めようとしている)。
 前者の「施行令」は主に2つの内容を規定している。1つは、受刑者に告知しないで差入人に引き取りを求めるべき差入金品について、差入人の所在不明のため最終的に国庫に帰属させる前提としての公告の方法(法23条2項等)を定めるものである。「刑事施設の公衆に見やすい場所に十四日間掲示してする」とされた。
 2つ目は、受刑者処遇法で新設された不服申立手続(「審査の申請」「再審査の申請」「事実の告知」)に行政不服審査法を準用する場合(法114条等)の、技術的読替えに関する規定である。注目すべきは、代理人に関する規定である。受刑者処遇法では114条等で審査の申請等に行政不服審査法の規定を多数準用しているが、「代理人による不服申立て」に関する行政不服審査法12条を準用していない。この点について監獄人権センターは立法過程で再三再考を求めてきたが受け入れられなかった。今回の政令でも代理人等による申請手続に関する行政不服審査法15条の規定から代理人に関する部分をはずして読み替えることとされていて、代理人による申請を認めないことが明確にされている。
 行政不服審査法の読替えについてのその他の規定は形式的なもので、特に問題はない。被収容者が不服申立てする場合は住所の代わりに「当該刑事施設の名称」を記載するものとされ、押印の代わりに「指印」でよいとされた。
 もともと、「施行令」は形式的なものであるから、やはり注目すべきは現行の「監獄法施行規則」に代わる法務省令の方である。しかし、こちらは新法施行日まで2週間余りとなった現在でも、未だ発表されていない。

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2006年4月18日 (火)

未決法案 衆議院本会議で可決

 午後1時からの衆議院本会議で未決処遇法案が賛成多数で可決された。

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2006年4月14日 (金)

未決法案 衆議院法務委を通過

 未決処遇法案(「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案」)が、自民党・公明党・国民新党の賛成多数で可決された。これに先立ち民主党・社民党提出の修正案は賛成少数で否決され、両党は原案には反対した。
 なお、留置施設への収容の漸減など14項目の附帯決議が全会一致で可決された。

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2006年4月12日 (水)

未決法案 愛媛県警取調べマニュアル

 4/12の衆議院法務委員会で民主党の高山智司議員が、4/21号の「週刊朝日」に写真が掲載された愛媛県警の「被疑者取調べ要領」(winnyを介してインターネットに流出したもの)を取り上げ、代用監獄の危険性を追及した。
 この取調べマニュアルには、「調べ室に入ったら自供させるまで出るな」「被疑者は、できる限り調べ室に出せ」「否認被疑者は朝から晩まで調べ室に出して調べよ。(被疑者を弱らせる意味もある)」などと書かれており、典型的な自白強要マニュアルといった内容になっている。
 また、「留置場内で検房時等必ず被疑者に声をかけ挨拶する」とも書かれており、取調官が留置場内に出入し、検房に関与し、取調べ目的で被疑者に声をかけていることが分かる。このことは、「昭和55年以降、捜査部門と留置部門を分離した」という警察庁の説明がいかにあてにならないものかを示している。
 警察庁長官官房長の安藤参考人は、この文書の真偽について「愛媛県警のものか否かを確認すること自体が、被害の拡大につながるので、答弁を差し控える」と述べ、確認を拒んだ。

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