刑務官の職務執行に関する訓令

平成18.5.23
矯成訓3258法務大臣訓令

 刑務官の職務執行に関する訓令を次のように定める。

刑務官の職務執行に関する訓令
目次
  第1章 総則(第1条・第2条)
  第2章 服務(第3条―第11条)
  第3章 装備品の貸与等(第12条・第13条)
  第4章 職務
   第1節 通則(第14条―第19条)
   第2節 身体の検査等(第20条―第22条)
   第3節 制止等の措置(第23条―第25条)
   第4節 捕縄,手錠及び拘束衣の使用(第26条―第34条)
   第5節 保護室への収容(第35条―第37条)
   第6節 武器の携帯及び使用(第38条―第46条)
   第7節 収容のための連戻し(第47条・第48条)
  第5章 補則(第49条・第50条)
  附則

第1章 総則

(趣旨)
第1条 この訓令は,刑務官の服務並びに刑事施設の規律及び秩序の維持に関する職務の執行を適正に行うため必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この訓令で使用する用語は,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成17年法律第50号。以下「既決法」という。)及び刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律施行規則(平成18年法務省令第57号。以下「既決規則」という。)で使用する用語の例による。

第2章 服務

(職責の自覚)
第3条 刑務官は,治安に対して重要な役割を担う刑事施設の重責を自覚するとともに,被収容者の人権を尊重し,積極的態度をもってその職務を遂行しなければならない。
(団結)
第4条 刑務官は,その団結と統制を図り,他の関係機関と緊密に連絡し,刑事施設の組織的機能を最高度に発揮するよう努めなければならない。
(危険及び責任の回避の禁止)
第5条 刑務官は,正当な事由なく,職務上の危険及び責任を回避してはならない。
(命令の遵守等)
第6条 刑務官は,職務の執行に当たり,法令及び上司の命令を遵守するとともに,職務上必要な意見があれば,積極的に具申し,上司を補佐しなければならない。
(品位)
第7条 刑務官は,その職務にふさわしい品位の保持に努めなければならない。
(職務能力の習得及び向上)
第8条 刑務官は,常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び能力の習得及び向上に努めなければならない。
(服装等)
第9条 刑務官は,刑務官の服制及び服装に関する規則(昭和59年法務省矯保訓第539号大臣訓令)の定めるところにより,所定の制服等を着用及び着装しなければならない。
(届出)
第10条 刑務官は,次の各号のいずれかに該当する場合には,遅滞なく,その旨を刑事施設の長に届け出なければならない。
(1)被収容者(労役場留置者及び被監置者を含む。以下同じ。)に親族又は知人がいるとき。
(2)被収容者の親族,釈放者その他これに類する者から金品が送付されてきたとき。
(3)事件又は事故の加害者又は被害者となったとき。
(4)その他刑事施設の長が定める事項に該当するとき。
2 前項の届出の様式は,刑事施設の長が定める。
(非常登庁)
第11条 刑務官は,刑事施設の長から非常招集の命令を受け,又は地震,火災,暴動その他の非常事態の発生を認識した場合には,やむを得ない事由がある場合を除き,直ちに登庁しなければならない。
2 前項の規定による登庁の基準については,刑事施設の長が定める。

第3章 装備品の貸与等

(装備品の貸与)
第12条 刑事施設の長は,刑務官に対し,次に掲げる装備品を貸与するものとする。ただし,第4号又は第5号に掲げる装備品については,配備数その他の事情を考慮し,これを貸与しないことができる。
(1)刑務官手帳(矯正局長が定める制式の手帳の表紙及び職員証並びに付属品をいう。)
(2)呼子笛
(3)通行かぎその他職務上必要なかぎ
(4)警棒
(5)第一種の手錠
2 刑事施設の長は,職務の性質その他の事情を考慮して,次に掲げる装備品を貸与することができる。
(1)既決規則第29条各号に掲げる警備用具(前項第4号に規定するものを除く。)
(2)捕縄
(3)小型武器(弾薬その他の付属品を含む。以下同じ。)
3 第1項又は前項の規定により貸与された装備品(以下この条において「貸与品」という。)は,職務と関係がないことに利用し,又は他人に貸与してはならない。
4 刑務官は,貸与品を紛失又は破損しないように適正に使用し,又は保管しなければならない。
5 刑務官は,勤務時間中において,貸与品を着装しなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合は,この限りでない。
(1)室内で勤務するとき(被収容者がいる工場,居室棟その他これらに類する場所で勤務するときを除く。)。
(2)会議又は事務打合せに出席するとき。
(3)私服を着用して勤務するとき(貸与品を使用する可能性のある職務に従事するときを除く。)。
(4)前3号に掲げる場合のほか,貸与品を着装することが不適当であると刑事施設の長が認めたとき。
6 刑務官は,退庁するときは,貸与品(刑務官手帳,呼子笛及び第二種の捕縄を除く。)を所定の場所に返納しなければならない。ただし,刑事施設の長が別に指示するときは,この限りでない。
7 刑務官は,貸与品を紛失し,又は破損した場合には,直ちに刑事施設の長に報告しなければならない。
8 刑事施設の長は,その指定する職員に,適時,貸与品の員数等を点検させなければならない。
(警備用具等の管理)
第13条 刑事施設の長は,その刑務官のうちから,警備用具,捕縄,手錠,拘束衣(鎮静衣として使用される場合を含む。以下同じ。)及び小型武器(以下この条において「警備用具等」という。)の管理責任者を指定するものとする。
2 前項の管理責任者は,前条第1項又は第2項の規定により貸与中のものを除き,適切に警備用具等を保管しなければならない。
3 第1項の管理責任者は,毎月1回以上,警備用具等の保管状況を検査し,必要に応じて手入れ等の措置を講じなければならない。
4 第1項の管理責任者は,次の各号に掲げる事由に該当するときは,当該各号に定める書面に記録しなければならない。
(1)小型武器を授受し,修理し,若しくは特別手入れを行い,又は小型武器,弾薬若しくは付属品を出納したとき 別記様式第1号から第6号までの書面
(2)催涙ガス筒の発射機若しくは催涙弾若しくは着色弾の発射機を授受したとき又は催涙ガス筒の発射機,催涙弾若しくは着色弾の発射機,催涙ガス筒,催涙ガス筒装薬包,催涙弾若しくは着色弾を出納したとき 別記様式第7号から第9号までの書面
(3)警備用具等(前2号に掲げるものを除く。)を貸与したとき 別記様式第10号の書面

第4章 職務

第1節 通則

(保安原則)
第14条 刑務官は,刑事施設の規律及び秩序の維持に関する職務を行うに当たっては,次に掲げる事項に留意しなければならたい。
(1)被収容者の位置は,できる限り,刑務官が自らの視線で監視できる範囲内とすること。
(2)刑務官が職務を行う位置は,できる限り,被収容者の動静の把握が容易であり,かつ,逃走等の非常事態に速やかに対応できる場所とすること。
(3)被収容者の人員は,常に確実に把握しておくこと。
(4)施錠箇所の開閉及び施錠並びにかぎの管理は確実に行い,施錠後は,その状態を確認すること。
(5)護送時において捕縄を使用するときは,縄尻を確実に把持しておくこと。
(6)保護室又は居室の開扉は,1名の刑務官で開扉することが許可されている場合を除き,2名以上の刑務官で行い,閉室点検後の居室の開扉は,監督当直者の許可を得て,2名以上の刑務官で行うこと。
(7)被収容者の会話が禁止されている場所又は時間において,被収容者の会話がなされているときは,これを制止すること。
(8)被収容者の位置が指定されている場合において,刑事施設の職員の許可を得ずに,被収容者がその位置から離れているときは,指定されている位置に移動させること。
(9)被収容者の動作は,定められた号令又は合図をもって規律正しくかつ敏速に行わせるとともに,被収容者の反則行為を察知又は現認した場合には,速やかに,必要な措置を執ること。
(10)作業指導員その他の刑事施設の職員以外の者が刑事施設内に立ち入るときは,特に必要がある場合を除き,被収容者と接触させないこと。
(11)被収容者の動静を綿密に視察し,その心情の把握に努めること。
(12)居室,工場その他の被収容者が立ち入る場所の点検及び被収容者の身体,着衣等の検査を励行すること。(13)自殺,逃走等に使用されるおそれがある物品及び設備等の点検を励行すること。(14)火災の原因となるおそれがある物品又は設備等の点検を励行すること。
(15)被収容者の動静又は刑事施設の状況に不審な点が認められるときは,速やかに,その原因等を確認し,必要な措置を執ること。
(16)報告は,迅速かつ的確に行うこと。
(17)職務を引き継ぐときは,被収容者の人員,動静その他の引継ぎに必要な事項を的確かつ簡潔に伝えること。
(18)冷静,沈着を旨とし,適切な言動を心掛け,毅然たる態度の中にも人間的な温かみをもって被収容者と接すること。
(記録)
第15条 刑務官は,捕縄,手錠又は拘束衣を使用し,使用を中止し,又は使用方法を変更した場合には,速やかに,視察表及び別記様式第11号の捕縄,手錠及び拘束衣使用簿に記録するものとする。ただし,護送時において第一種の捕縄及び第一種の手錠を使用し,使用を中止し,又は使用方法を変更した場合は,この限りでない。
2 刑務官は,被収容者を保護室に収容し,又は収容を中止した場合には,速やかに,視察表及び別記様式第12号の保護室使用簿に記録するものとする。
3 制止等の措置の状況,捕縄,手錠又は拘束衣の使用(護送時における第一種の捕縄及び第一種の手錠の使用を除く。)の状況,保護室への収容の状況及び武器の使用の状況は,録画するものとする。
4 刑事施設の長は,前項の録画を行う者を刑事施設の職員のうちから指名するものとする。
5 前項の指名を受けた職員は、非常ベル,電話連絡等により第3項の録画をすべき状況が生じる可能性があることを認知した場合には,録画機器を携行して現場に急行し,又は処遇部門事務室等に設置された録画機器を操作し,その状況を録画するものとする。
6 前項の場合において,第4項の指名を受けた職員が録画をできなかった場合には,その旨及びその理由を書面に記録し,刑事施設の長に報告しなければならない。
(報告等)
第16条 刑務官は,制止等の措置を執り,捕縄,手錠,拘束衣若しくは小型武器を使用し,被収容者を保護室に収容し,又は逃走者の連戻し等に着手した場合には,速やかに,刑事施設の長に報告しなければならない。ただし,護送のため第一種の捕縄及び第一種の手錠を使用した場合には,報告を省略することができる。
2 前項に定めるもののほか,刑務官は,上司に対し,適時に,職務上必要な事項を報告しなければならない。
3 刑務官の報告の要領については,矯正局長が定める。
(勤務場所等)
第17条 刑務官は,勤務箇所を指定されている場合には,上司の許可がある場合その他正当な理由がある場合を除き,その箇所を離れてはならない。
(女子の被収容者の立会い等)
第18条 男子の刑務官は,女子の被収容者の入浴及び診療(特にしゅう恥心を害することのない態様による診療を除く。)の立会いを行ってはならない。
2 前項に定めるもののほか,男子の刑務官が女子の被収容者の処遇を行う場合の留意事項については,矯正局長が定める。
(勤務要領)
第19条 刑事施設の長は,この訓令に定めるもののほか,刑事施設の規律及び秩序の維特に関する刑務官の勤務要領を定めることができる。

第2節 身体の検査等

(身体の検査)
第20条 刑務官は,既決法第16条第1項,第52条第1項若しくは第109条第2項前段又は刑事施設二於ケル刑事被告人ノ収容等二関スル法律(明治41年法律第28号)(以下「未決法」という。)第14条の規定により身体の検査を行う場合には,できる限り,被検査者のしゅう恥心を損なわないように配慮しなければならない。
(所持品の検査)
第21条 刑務官は,既決法第21条,第52条第1項又は第109条第2項前段の規定により受刑者(労役場留置者を含む。以下同じ。)の所持品を検査するため,その所持品を損壊する必要がある場合には,上司に報告し,その指示を受けなければならない。
2 刑務官は,既決法第21条,第52条第1項及び第3項又は第109条第2項前段の規定により受刑者の所持品又は被収容者以外の者の携帯品を取り上げて一時保管した場合には,上司に報告し,その指示を受けなければならない。
3 刑務官は,刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には,受刑者以外の被収容者について,その所持品を検査し,及びその所持品を取り上げて一時保管するものとする。
4 第1項及び第2項の規定は,受刑者以外の被収容者の所持品を検査し,及びその所持品を取り上げて一時保管する場合について準用する。
(居室等の検査)
第22条 刑務官は,上司の指示を受け,定期又は臨時に,居室,工場その他被収容者が立ち入る場所を検査しなければならない。

第3節 制止等の措置

(制止等の措置の留意事項)
第23条 刑務官は,既決法第54条第1項又は第2項の規定により受刑者又は被収容者以外の者の行為を制止し,その行為をする者を拘束し,その他その行為を抑止するため必要な措置を執る場合には,不必要な危害を及ぼし,又は損害を与えないよう留意しなければならない。
2 刑務官は,受刑者以外の被収容者が自身を傷つけ若しくは他人に危害を加え,逃走し,刑事施設の職員の職務の執行を妨げ,その他刑事施設の規律及び秩序を著しく害する行為をし,又はこれらの行為をしようとする場合には,合理的に必要と判断される限度で,その行為を制止し,その者を拘束し,その他その行為を抑止するため必要な措置を執らなければならない。
3 第1項の規定は,受刑者以外の被収容者の行為を制止し,その者を拘束し,その他その行為を抑止するため必要な措置を執る場合について準用する。
(警備用具の携帯及び使用)
第24条 刑務官は,第12条第1項又は第2項の規定により警備用具を貸与されている場合のほか,警備用具の使用が予想される場合には,これを携帯することができる。
2 刑務官は,既決法第54条第1項又は第2項の措置を執るため警備用具を携帯し,又は使用する場合には,次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1)被使用者以外の者に対する影響を最小限にとどめる方法で使用すること。
(2)被使用者その他の者を殊更に刺激するような態様で携帯し,又は使用しないこと。
(3)警備用具を奪取されないように携帯すること。
3 刑務官は,既決法第54条第1項又は第2項の措置を執るため警備用具を使用しようとするときは,警備用具を使用することを相手に予告するものとする。ただし,事態が急迫し,予告するいとまのないとき又は予告することにより相手の違法行為等を誘発するおそれがあると認めるときは,この限りでない。
4 前2項の規定は,受刑者以外の被収容者の行為を制止し,その者を拘束し,その他その行為を抑止するため必要な措置を執るため警備用具を携帯し,又は使用する場合について準用する。
5 刑務官は,既決法第57条第4項の規定に該当する場合又は未決法第20条の規定に該当し,かつ,刑法(明治40年法律第45号)第36条若しくは第37条に該当する場合若しくは刑務官において他に受刑者以外の被収容者の未決法第20条各号に規定する行為を抑止する手段がないと信ずるに足りる相当の理由がある場合を除き,警備用具を武器として用いてはならない。
(警備用具の制式)
第25条 警備用具の制式は,別表のとおりとする。

第4節 捕縄,手錠及び拘束衣の使用

(捕縄,手錠又は拘束衣の携帯)
第26条 刑務官は,第12条第1項又は第2項の規定により捕縄又は手錠を貸与されている場合のほか,捕縄,手錠又は拘束衣の使用が予想される場合には,これを携帯することができる。
(捕縄,手錠及び拘束衣の使用上の留意事項)
第27条 刑務官は,既決法第55条第1項から第3項まで又は未決法第19条第1項の規定により捕縄,手錠又は拘束衣を使用する場合には,次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1)必要以上に緊度を強くして,使用部位を傷つけたり,血液の循環を著しく妨げる等の方法で使用しないこと。
(2)捕縄又は手錠は,緊急やむを得ない理由がある場合を除き,捕縄又は手錠以外のものと連結してはならないこと。
(3)捕縄,手錠又は拘束衣を使用中(護送時に捕縄及び手錠を使用中の場合を除く。)の被収容者については,巡回,監視用テレビカメラ等の方法により,綿密かつ頻繁に視察し,その動静を的確に把握するとともに,心情の安定を図るための働き掛けを試みること。
(4)被収容者を護送する場合において,外来患者等がいる病院の通路その他の多数の部外者がいる場所を歩行させるときは,タオルや上着等で手錠本体を覆い,捕縄を上衣の下に使用するなどの方法により,できる限り,部外者に捕縄又は手錠が一見して明らかとならないような措置を講ずること。
(捕縄の使用方法)
第28条 刑務官は,捕縄を使用する場合(護送時を除く。)には,次に掲げる方法によらなければならない。
(1)使用部位は,手首,腰部,大腿部又は下腿部(足首を含む。以下同じ。)とし,連結部位は,手首と腰部,手首相互,大腿部相互,下腿部相互又は手錠と腰部とすること。
(2)手首に使用した場合又は手首及び腰部にそれぞれ使用して連結した場合の手の位置は,両手前,片手前片手後ろ又は両手後ろとし,両手首を合わせて使用した場合に限り手首を交錯できること。
(3)1個の捕縄を2人以上に使用しないこと。
(4)使用中の者の食事,用便等に当たっては,原則として捕縄を一時外すこと。
(第一種の手錠の使用方法)
第29条 刑務官は,第一種の手錠を使用する場合には,次に掲げる方法によらなければならない。
(1)手首に使用し,それ以外の部位には使用しないこと。
(2)手の位置は,両手前又は両手後ろとすること。
(3)1個の手錠を2人以上に使用しないこと。
(4)護送時を除き,使用中の者の食事,用便等に当たっては,原則として第一種の手錠を一時外すこと。ただし,これにより難い場合には,できるだけ次のような措置を執ること。
ア 片手の腕輪を外す。
イ 両手後ろを両手前に変更する。
(5)保護室収容中は,次条第2項に規定する場合を除き,原則として第一種の手錠を使用しないこと。
(第二種の手錠の使用方法等)
第30条 刑務官は,保護室への収容のみによっては暴行又は自殺を抑止できないと認められる場合に限り,第二種の手錠を使用することができる。ただし,保護室が使用できない場合又は整備されていない場合において,既決法第55条第1項又は未決法第19条第1項に規定する要件に該当する場合には,第二種の手錠を使用することができる。
2 刑務官は,第二種の手錠を使用する場合において,手首が腕輪から抜けるおそれがあり,これを防止するため必要と認められる場合には,第一種の手錠を併用することができる。この場合においては,第一種の手錠の左右2個の腕輪を共に同一の手首に使用しなければならない。
3 刑務官は,第二種の手錠を使用する場合には,次に掲げる方法によらなければならない。
(1)手首に使用し,それ以外の部位には使用しないこと。
(2)連結板の長い方が身体側になるようにすること。
(3)手の位置は,原則として両手前とすること。ただし,両手前では暴行又は自殺を抑止する上で支障が認められる場合には,両手後ろとすること。
(4)使用中の者の食事,用便等に当たっては,原則として第二種の手錠を一時外すこと。ただし,これにより難い場合には,できるだけ次のような措置を執ること。
ア 片手の腕輪を外す。
イ 両手後ろを両手前に変更する。
(護送時の使用方法)
第31条 刑務官は,被収容者の護送時において第一種の手錠及び第一種の捕縄を使用する場合には,第29条第1号から第3号までの規定によるほか,次に掲げる方法によらなければならない。
(1)使用中の者の食事,用便等に当たっては,特に必要がある場合を除き,外さないこと。ただし,第一種の手錠については,できるだけ次のような措置を執ること。
ア 片手の腕輪を外す。
イ 両手後ろを両手前に変更する。
(2)第一種の捕縄の使用部位は,第一種の手錠と腰部とすること。
(3)複数の被収容者を護送する場合には,1個の第一種の捕縄により,複数の被収容者の腰部相互及び第一種の手錠相互を連結することができること。
(拘東衣の使用方法等)
第32条 刑務官は,被収容者が自身を傷つけるおそれがある場合において,保護室への収容によりこれを防止できないときは,既決法第55条第2項若しくは第3項又は未決法第19条第1項の規定により拘束衣を使用することができる。ただし,受刑者以外の被収容者に対して拘束衣を使用する場合において,捕縄又は手錠と同時に使用することはできない。
2 前項の規定にかかわらず,刑務官は,被収容者が自身を傷つけるおそれがあり,かつ,保護室が使用できない場合又は整備されていない場合において,捕縄又は手錠の使用その他の方法によりこれを防止できないときは,拘束衣を使用することができる。
3 刑務官は,拘束衣を使用する場合には,次に掲げる方法によらなければならない。
(1)拘束衣のベルトは,指定された各部位に使用することとし,それ以外の部位には使用しないこと。
(2)拘束衣の前面と背面は逆に使用しないこと。
(3)原則として,頭部保護具(ヘッドギア)を装着させること。
(4)被使用者の食事,用便等に当たっては,その状況に応じて,片手のベルトを解くこと,ジッパーを必要に応じて開放すること,足ベルトを緩めることその他の食事,用便等の支障を緩和する措置を講ずること。
4 受刑者以外の被収容者に対する拘束衣の使用の期間は,3時間とする。ただし,刑事施設の長は,特に継続の必要があると認めるときは,通じて12時間を超えない範囲内で,3時間ごとにその期間を更新することができる。
5 刑事施設の長は,前項の期間中であっても,拘束衣の使用の必要がなくなったときは,直ちに,その使用を中止させなければならない。
(緊急時の使用方法の特則)
第33条 刑務官は,緊急その他やむを得ない事由があり,かつ,第28条から第31条までに規定する方法(以下この条において「通常の使用方法」という。)によっては,捕縄又は手錠を使用する目的を達成することが著しく困難である場合には,通常の使用方法以外の相当な方法により捕縄又は手錠を使用することができる。
2 前項に規定する相当な方法により捕縄又は手錠を使用する必要がなくなった場合には,直ちに,通常の使用方法に変更しなければならない。
(医師の意見聴取)
第34条 刑事施設の長は,既決法第55条第6項の規定により医師の意見を聴取する場合には,その医師が受刑者の健康状態を直ちに把握できる場合を除き,看護師又は准看護師にその状況を把握させ,その医師へ報告させるものとする。
2 前項の報告がなされたときは,その報告を受けた医師において診察の要否を判断するものとする。
3 刑事施設の医師は,診察,看護師又は准看護師の報告その他の方法により拘束衣を使用されている受刑者の健康状態を把握し,法第55条第6項に規定する意見を述べるものとする。
4 未決法第19条第1項の規定により受刑者以外の被収容者に拘束衣を使用し,又は第32条第4項ただし書の規定によりその使用の期間を更新した場合には,刑事施設の長は,速やかに,その受刑者以外の被収容者の健康状態について,刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。
5 前項の規定による医師の意見聴取については,第1項から第3項までの規定を準用する。

第5節保護室への収容

(保護室への収容の留意事項)
第35条 刑務官は,既決法第56条第1項若しくは第2項又は未決法第15条の規定により被収容者を保護室(既決規則第32条各号に掲げる設備及び構造の基準を満たす室をいう。以下同じ。)に収容する場合には,綿密かつ頻繁に視察し,その動静を的確に把握するとともに,心情の安定を図るための働き掛けを試みるよう留意しなければならない。
(受刑者以外の被収容者の保護室への収容)
第36条 刑務官は,受刑者以外の被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には,刑事施設の長の命令により,その者を保護室に収容することができる。
(1)自身を傷つけるおそれがあるとき。
(2)次のイからハまでのいずれかに該当する場合において,刑事施設の規律及び秩序を維持するため特に必要があるとき。
イ 刑務官の制止に従わず,大声又は騒音を発するとき。
ロ 他人に危害を加えるおそれがあるとき。
ハ 刑事施設の設備,器具その他の物を損壊し,又は汚損するおそれがあるとき。
2 前項に規定する場合において,刑事施設の長の命令を待ついとまがないときは,刑務官は,その命令を待たないで,その受刑者以外の被収容者を保護室に収容することができる。この場合には,速やかにその旨を刑事施設の長に報告しなければならない。
3 前2項の規定による保護室への収容の期間は,72時間以内とする。ただし,特に継続の必要がある場合には,刑事施設の長は,48時間ごとにこれを更新することができる。
4 刑事施設の長は,前項の期間中であっても,保護室への収容の必要がなくなったときは,直ちにその収容を中止させなければならない。
(医師の意見聴取)
第37条 既決法第56条第5項の規定により医師の意見を聴取する場合については,第34条第1項から第3項までの規定を準用する。
2 未決法第15条の規定により受刑者以外の被収容者を保護室に収容し,又は前条第3項ただし書の規定によりその収容の期間を更新した場合には,刑事施設の長は,速やかに,その者の健康状態について,刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。
3 前項の規定による医師の意見聴取については,第34条第1項から第3項までの規定を準用する。

第6節 武器の携帯及び使用

(けん銃等の事故の防止)
第38条 刑務官は,既決法第57条第1項及び既決規則第33条第1項の規定により携帯するけん銃又は小銃(以下「けん銃等」という。)の取扱いについては,次に掲げる事項を厳守し,事故の防止について細心の注意を払わなければならない。
(1)けん銃等を手にしたときは,安全装置の状態及び薬室内の弾薬の有無を確かめること。
(2)射撃するときのほか,回転式けん銃にあっては撃鉄を起こさず,自動式けん銃又は小銃にあっては,刑事施設の長が特に指示したときを除き,薬室に弾薬を装てんしないこと。
(3)射撃するときのほか,用心金の中に指を入れないこと。
(4)射撃の目標物以外のもの又は跳弾により人を傷つけるおそれのある方向には,銃口を向けないこと。
(5)けん銃等を他人に渡すとき及び必要があってけん銃をけん銃入れから出しておくときは,回転式けん銃にあっては弾薬を抜き出し,弾倉を開いたままにし,自動式けん銃又は小銃にあっては安全装置が掛かっていること及び弾薬が薬室に装てんされていないことを確認すること。
(6)必要がある場合のほかは,けん銃入れからけん銃を取り出し,又はこれをもてあそばないこと。
(7)職務上必要のない者には,けん銃等を渡し,又はけん銃等に手を触れさせないこと。
(けん銃の携帯方法)
第39条 刑務官は,第9条の規定により所定の制服等を着用及び着装する場合において,既決法第57条第1項及び既決規則第33条第1項の規定によりけん銃を携帯するときは,けん銃入れに納めて帯革に付け,右腰に着装するものとする。ただし,職務の性質上特に必要がある場合には,刑事施設の長が指示する方法により携帯することができる。
2 前項本文の方法により,所定の制服等を着用及び着装してけん銃を着装したときは,安全止革を撃鉄に掛けボタンで留めるものとする。ただし,職務の執行に当たりけん銃の使用が予想されるときは,安全止革は外しておくものとする。
3 私服を着用してけん銃を携帯するときは,前2項の規定にかかわらず,目立たないよう適宜の方法で携帯するものとする。ただし,職務の執行に当たりけん銃の使用が予想される場合は,この限りでない。
(あらかじめけん銃等を取り出しておくことができる場合)
第40条 既決法第57条第1項及び既決規則第33条第1項の規定によりけん銃等を携帯している刑務官は,職務の執行に当たりけん銃等の使用が予想される場合には,あらかじめけん銃等を取り出しておくことができる。
(けん銃等を構えることができる場合)
第41条 刑務官は,既決法第57条第2項若しくは第3項又は未決法第20条に規定する場合には,相手に向けてけん銃等を構えることができる。
2 前項の規定によりけん銃等を構える場合には,相手の人数,凶器の有無及び種類その他の事情に応じ,適切な構え方をするものとする。
(けん銃等を撃つ場合の予告)
第42条 刑務官は,既決法第57条第2項若しくは第3項又は未決法第20条の規定によりけん銃等を撃とうとするときは,けん銃等を撃つことを相手に予告するものとする。ただし,事態が急迫し,予告するいとまのないとき又は予告することにより相手の違法行為等を誘発するおそれがあると認めるときは,この限りでない。
(威かく射撃等をすることができる場合)
第43条 刑務官は,既決法第57条第2項若しくは第3項又は未決法第20条に規定する場合において,多衆を相手にするとき,相手に向けてけん銃等を構えても相手が行為を中止しないと認めるときその他威かくのためけん銃等を撃つことが相手の行為を制止する手段として適当であると認めるときは,上空その他の安全な方向に向けてけん銃等を撃つことができる。
2 前項の規定により威かく射撃をする場合には,人に危害を及ぼし,又は損害を与えることのないよう,射撃の時機及び方向に注意するとともに,その回数も必要最小限にとどめるものとする。
3 事態が急迫し,威かく射撃をするいとまのないとき,威かく射撃をしても相手が行為を中止しないと認めるとき又は周囲の状況に照らし人に危害を及ぼし,若しくは損害を与えるおそれがあると認めるときは,次条の規定による射撃に先立って威かく射撃をすることを要しない。
4 第1項に定めるもののほか,刑務官は,その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において,狂犬等の動物その他の物に向けてけん銃等を撃つことができる。
(相手に向けてけん銃等を撃つことができる場合)
第44条 刑務官は,次の各号のいずれかに該当する場合には,相手に向けてけん銃を撃つことができる。
(1)既決法第57条第4項に規定する場合
(2)未決法第20条に規定する場合において,刑法第36条若しくは第37条に該当するとき又は刑務官において他に受刑者以外の被収容者の未決法第20条各号に規定する行為を抑止する手段がないと信ずるに足りる相当の理由があるとき。
2 前項の規定によりけん銃等を撃つときは,相手以外の者に危害を及ぼし,又は損害を与えないよう,事態の急迫の程度,周囲の状況その他の事情に応じ,必要な注意を払わなければならない。
(けん銃等の訓練)
第45条 刑事施設の長は,適正かつ的確なけん銃等の使用及び取扱いを図るため,刑務官に対し,けん銃等の訓練を行わなければならない。
2 前項の訓練の責任者は,刑務官のうちから刑事施設の長が指名する。
(けん銃の操法)
第46条 けん銃の操法は,矯正局長が定める。

第7節 収容のための連戻し

(逃走行為を抑止するための措置)
第47条 刑務官は,被収容者が逃走しようとしているところを現認したときは,直ちに,その行為を制止し,その被収容者を追跡し,その他その逃走行為を抑止するため必要な措置を執らなければならない。
(逃走者の捜索等)
第48条 刑務官は,被収容者が逃走した場合又は既決法第152条第1項若しくは第2項に規定する場合には,上司の指示を受け,その逃走者等を捜索し,予想される逃走先を張り込み,その他逃走者等を連れ戻すため必要な措置を執らなければならない。

第5章 補則

(刑務官の順位)
第49条 刑務官の順位は,既決規則第8条に規定する階級(主任看守は,看守の階級に含まれ,看守に対して上位の職にあたる。以下同じ。)の上下による。
2 同一の階級を有する刑務官の順位は,職の上下による。
3 同一の階級及び職を有する刑務官の順位は,その階級又は職に任命された日付の前後により,その日付が同一であるときは前階級,前職又は前階級の上位の職に任命された日付の前後による。
4 矯正職員の研修に関する訓令(平成18年法務省矯総訓第3272号大臣訓令)第15条第1項及び第25条第1項に規定する研修を修了した副看守長以下の階級を有する刑務官は,前項の規定にかかわらず,同研修を修了していない同一の階級及び職を有する刑務官の上位とする。
(部隊等の指揮命令)
第50条 刑務官が部隊その他の集団により刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要な措置を執る場合には,指揮者の命令によらなければならない。ただし,状況が急迫し,命令を受けるいとまのないときは,この限りでない。
2 前項に規定する指揮者は,前条の規定により最上位となる刑務官とする。ただし,部隊その他の集団を指揮する刑務官が指定されている場合には,上位の階級を有する刑務官がいる場合を除き,その指定された刑務官を指揮者とする。
3 指揮者が命令をすることができないときは,前条の規定により次順位となる刑務官を指揮者とする。
4 指揮者は,指揮下にある刑務官に対し,第1項の措置を適正に執るため必要となる役割の分担を指示するものとする。

附則
1 この訓令は,既決法の施行の日(平成18年5月24日)から施行する。
2 警棒の使用及び取扱規程(昭和24年法務庁矯総甲第301号法務総裁訓令),昭和24年2月28日付け法務庁矯総甲第301号の2法務行政長官通牒「警棒の使用及び取扱規程制定について」,ガス銃の使用及び取扱規程(昭和29年法務省矯正甲第436号大臣訓令),けん銃の使用及び取扱規程(昭和30年法務省矯正甲第25号大臣訓令),昭和32年2月18日付け法務省矯正甲第125号事務次官通牒「護送時におけるけん銃及び警棒の携帯について」,刑務官手帳規程(昭和63年法務省矯保訓第2276号大臣訓令)及び行刑施設の規律の維特等に関する刑務官職務規程(平成3年法務省矯保訓第689号大臣訓令)は,廃止する。

別表 警備用具の制式 (略)

別記様式第1号~第12号 (略)