刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律・附帯決議
(引用者注:2006/04/14衆議院法務委員会)

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 未決拘禁者の処遇に当たっては、有罪判決が確定した者でないことを踏まえ、必要のない制約が行われることがないよう十分に留意するとともに、その防御権を尊重するごと。

二 前項の趣旨にかんがみ、未決拘禁者の私物の保管限度量を定めるに当たっては、訴訟の準備に支障が生じることのないよう、訴訟記録等の取扱いについて特段の配慮をすること。

三 未決拘禁者と弁護人等の面会については「面会の状況を監視すること等によりかりそめにも秘密交通権の侵害となることがないよう留意するとともに、連日的・集中的な公判審理が行われる中で防御権を実質的に保障するため、夜間・休日面会に対応することができるよう、必要な人的・物的体制の整備に努めること。

四 未決拘禁者と弁護人等との連絡手段としての電話・ファックス等の導入については、その必要性や通信インフラその他の物的基盤・人的基盤の整備状況等を踏まえ、弁護人の同一性の確認等の課題にも留意しつつ、これを利用できる範囲や具体的な方法、捜査上の必要性との調整の在り方等について実質的検討を行うこと。

五 一日一時間を目標とした運動環境や、女子の被収容者の処遇にはできる限り女子の職員を配置することの検討を含め、被収容者の生活環境の一層の改善を図るため、必要かつ十分な予算を確保し、刑事施設の人的・物的整備に努めること。

六 昭和五十五年に法制審議会から「関係当局は、将来、できる限り被勾留者の収容の必要に応じることができるよう、刑事施設の増設及び収容能力の増強に努めて、被勾留者を刑事留置場に収容する例を漸次少なくすること。」との答申がなされたが、現在、刑事収容施設の過剰拘禁問題の解決が、当時に比しても、喫緊の課題となっており、その実現に向けて、関係当局は更なる努力を怠らないこと。

七 前項の取組を踏まえ、次なる課題として、刑事司法全体が大きな変革の時代を迎えていることなどを踏まえて、刑事司法制度の在り方を検討する際には、平成十六年四月二十三日当委員会決議第一頂(注)を尊重し、取調べを含む捜査の在り方について検討するとともに、代用刑事施設制度の在り方についても、刑事手続全体との関連の中で検討すべきこと。

八 代用刑事施設に収容される者は原則として被疑者に限られるべきであり、起訴後は速やかに刑事施設に移送されることが可能となるよう努力すべきこと。

九 捜査と留置の完全な分離を図るため、留置担当官は捜査業務に従事してはならないこととともに、捜査担当官は担当する被疑者の留置業務に従事してはならないことを徹底し、また、被留置者の起居動作の時間帯を遵守すべく努めること。

十 留置業務管理者は、未決拘禁者等の居室の出入りについて、その時刻その他の事項を記載し、保存するとともに、裁判所等からの求めに応じ、これを開示すること。

十一 反則行為に対する禁止措置の規定は、対象者が未決拘禁者であることも十分に踏まえた運用に努めることが必要であり、かりそめにも取調べと関連づけることのないよう徹底すべきこと。

十二 防声具の使用状況については、留置施設視察委員会に必ず報告するとともに、留置施設における防声具の使用の将来的な廃止を目指し、留置施設への保護室の整備を計画的に進めるほか、処遇困難被留置者の早期の刑事施設への移送を積極的に推進すること。

十三 留置施設視察委員会は、幅広く各界各層から委員を選任することとし、委員会が留置業務管理者に対して述べた意見は、本制度が導入された趣旨にかんがみ、十分尊重されること。

十四 死刑確定者処遇の原則に定められている「心情の安定」は、死刑に直面する者に対する配慮のための原理であり、これを死刑確定者の権利を制限する原理であると考えてはならないこと。

(注〉平成十六年四月二十三目当委員会決議第一項
「政府は、最高裁判所、法務省及ぴ日本弁護士連合会による刑事手続の在り方等に関する協議会における協議を踏まえ、例えば、録画ないし録音による取調べ状況の可視化、新たな捜査手法の導入を含め、捜査又は公判の手続に関し更に講ずべき措置の有無及びその内容について、刑事手続全体の在り方との関連にも十分に留意しつつ検討を行うこととし、本委員会は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律施行までに実質的な論議が進展することを期待する。」